先日、とあるクライアントさんから、納品した記事に指摘を受けてしまいました。
体言止めが多過ぎますね・・・
体言止めが多いのはダメなんですね・・・
申し訳ないです。すぐに修正します。
体言止めは使わないでください。
実は以前、違うクライアントさんからも言われたことがありました。
その時はそれ程気にすることもなく、
ヘンな拘りがあるのかなぁ・・・
程度の認識だったのですが、実はそうではありませんでした。体言止めはメリットも多いのですが、実はデメリットもあったのです。
体言止めを文章内に使用することで色々な効果が得られます。その中でも個人的に重要視しているのは記事を読む時のリズム感。しかし、リズム感を求めすぎると、記事で最も重要な部分が欠落することになりかねません。
そこで今回は、体言止めのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
個人的なブログを書く時にはそれ程気にする必要はありません。しかし、他の人から依頼を受けて記事を書くときには、この記事を読んで体言止めの使用箇所には気を付けてください。
そもそも体言止めとは何?
そもそも体言止めとはどのような物を指すのでしょうか?通常の文章とは何が違うのでしょう?
体言止めとは文章の語尾を体言で終わる技法のことです。体言とは概念を表すもので、尚且つ活用がない語のことを言います。具体的には次の3種類です。
- 名詞
- 代名詞
- 数詞
簡単に言うと、主語となり得るものを指します。
従って体言止めとは、上記の3巣類の語で終わる文章のことで、古くから「和歌」や「俳諧」でも多く用いられてきた表現技法です。
では、体言止めという、少し特殊な技法を使うことでどのような効果・メリットが得られるのでしょうか。
体言止めの3つの効果!リズム感を付け読者を引き付ける!
文章の中に体言止めを使用するということは通常の文章では表現できないことが表現できるようになるということです。
体言止めの良い効果としては、次の3つがあります。
メリット
- 文章にリズム感が出る
- 文章を短くシンプルにできる
- 読者の注意を引き付ける
では、もう少し具体的に解説していきましょう。
体言止めには文章にリズム感を出す効果がある
記事の中に体言止めを使用することによって、文章のリズムを作り出すことができます。
Webライティングの世界では同じ語尾の文章が続くことは避けるというのが鉄則になっています。それは、同じ語尾の文章が続くと非常に幼稚な文章に思えるからです。ライティングの仕事を受ける時の各社のマニュアルには下記のように明記されています。
ポイント
- 同じ語尾が続くのは2回までとしてください
- 同じ語尾が続かないように配慮してください
つまり、「~ます。~ます。~ます。」などの文章はダメということです。
小学生の作文みたいですね・・・
と、指摘をされる前に修正しましょう。そんな時に有用なのが体言止めです。体言止めを入れることで、単調だった文章にリズムが生まれます。
例えば、下記の文章を読んでみてください。とっても幼稚な文章に思えるのではないでしょうか。
同じ語尾が続く例
今日は帰宅途中にコンビニに寄ります。
コンビニでは週刊少年ジャンプを立ち読みします。
そして、コーヒーを買って帰ります。
この文章でも、たった1個の体言止めを使用するだけで、下記のように幼稚な文章ではなくなります。
体言止めを入れた例
今日は帰宅途中にコンビニに寄ります。
コンビニでは週刊少年ジャンプを立ち読み。
そして、コーヒーを買って帰ります。
どうでしょうか。体言止めを入れたことによって、リズム感のある文章になったことがわかります。体言止めを使用することで、文章の流れを一旦止めることができます。
ストップ&ゴー!という感じで、読み手の疲れを軽減させる役割があると言っても良いでしょう。
体言止めは文章を短くシンプルにする効果あり
体言止めを使って文章を区切ることで、短くシンプルな文章にすることができます。
例えば、下記のような長い文章は結局何が言いたいのか、非常に伝わり辛い文章になってしまいます。
今日は帰宅途中にコンビニに寄り、週刊少年ジャンプを立ち読みしてからコーヒーを買って帰りました。
上記の文章を細かく区切り、体言止めを入れてみましょう。
体言止めを入れた例
今日は帰宅途中にコンビニに寄ります。
コンビニでは週刊少年ジャンプを立ち読み。
その後、コーヒーを買って帰ります。
体言止めを少し入れるだけで随分印象が変わったのではないでしょうか。それだけでなく、文章が短くなるので意味が伝わりやすくなっているはずです。
ライティングでは「文章は短く」と言われますが、体言止めを使用することでより文章を短くシンプルにすることができます。
体言止めで強調!読者の注意を引き付けよう!
文章に体言止めを使用することで、曖昧さと余韻を残すことができます。そして、何かを強調したい時に使用すると効果的です。
特に文学作品の場合には、体言止めを使用することで文章が曖昧になり、読者の想像力を掻き立てることになります。
また、体言止めを使用することで、文章の前後が入れ替える(倒置法)必要が出て来る場合もあります。つまり、体言止めは単なる省略ではなく、深い表現方法なのです。
以上、体言止めの効果について解説してきましたが、体言止めは良い効果ばかりではありません。使い方によっては悪い効果もあるので、使用時には注意が必要です。
では、良く無い効果とはどのようなものでしょうか。
体言止めの3つのデメリット!使い過ぎは逆効果?
体言止めは和歌や俳諧に使用するだけでなく、日常の文章に使用する場合でも効果的です。しかし、使い過ぎると逆効果。
では、体言止めの使い過ぎで、どのようなデメリットがあるのでしょうか。考えられるデメリットは次の3つです。
デメリット
- 意味が曖昧になる
- 軽い文章になる
- 強調される
では、それぞれについてもう少し詳しく解説していきましょう。
体言止めで意味が曖昧になる!使い過ぎに注意!
体言止めの効果として、物事が曖昧になるというものがあります。前述したように、曖昧にすることで読者の注意を引き付けることも可能です。
しかし、相手に何かを伝えなければならないWebライティングという分野においては、致命的なデメリットにもなり得ます。
例えば読者に何らかの行動を起こしてもらいたい時に体言止めを使用することで、曖昧な表現となり読者が戸惑うかもしれません。これは、体言止めによって文章が完結していないことが原因です。
つまり、読者の誘導が目的であれば、曖昧な表現となることで貴重な機会を奪うことになります。
Webライティングという分野だけでなく、論文(小論文)などでも結論を言い切ることが重要。従って、論文などにも体言止めの使用は控えるべきです。
体言止めの使い過ぎで軽い文章になる
体言止めを使い過ぎると非常に軽い印象の文章になるので、説得力の無い記事となります。軽い印象というより、詩のような印象と言った方が適切かもしれません。
文学的な表現として使用することはあるかもしれませんが、Webライティングという点では不適切です。
極端な例を挙げると、下記のようになります。
体言止めを多用した例
今日は帰宅途中にコンビニ。
コンビニでは週刊少年ジャンプを立ち読み。
そして、帰りにブラックコーヒー。
こういう、ノリノリの文章は不適切です!
また、体言止めを多用することで、途切れた文章の連続になります。すると、逆にリズムが悪くなる場合もあり、結果的に読みにくくなるということもあるので注意が必要です。
ココ!
という時に使うのが良いということですね!?
体言止めは強調の意味あり!キツイ言い方と捉えられる可能性も!
実は体言止めは強調する表現としても使用されます。つまり、読み手に取って捉え方が強い印象になるということです。
体言止めはキツイ表現になるので多用しないでください。
担当者さんに指摘されたのも納得です。書き手が思っている以上に読み手側にはキツイ表現と捉えられがちです。従って、本当に必要なところだけ使用してください。
まとめ
今回は「体言止め」の効果について取り上げました。体言止めには良い効果もありますが、使い過ぎることで悪い効果もあるので使いどころには注意が必要です。
良い効果としては次の3点。
- 文章にリズム感が出る
- 文章を短くシンプルにできる
- 読者の注意を引き付ける
特に同じ語尾が並ばないように体言止めを使用することで、読みやすい文章になります。ただし、体言止めを使い過ぎると下記のようなデメリットもあるので注意してください。
- 意味が曖昧になる
- 軽い文章になる
- 強調される
上記の理由により、論文などの言い切らなければならないような文章に体言止めを使用することは不適切です。
Webライティングの分野でも、その記事の内容によっては使用しない方が良い場合があります。ちなみに、体言止めが禁止されたのは知的財産の記事でした。法律関係ということもあり、体言止めは使用を控えるべきだったと反省しています。
体言止めは文章のリズムを作るのにはとても有効ですが、「ココ」という時以外はなるべく使わない方が良いですね。