コラム

IoTデバイスとは?各分野ごとの活用事例や今後の課題を詳しく解説

IoTデバイスは急速に普及し、生活家電にも搭載されることが多くなってきました。しかし、IoTに対応した生活家電を見て、下記のような疑問を感じたことはありませんか?

「IoTについてはなんとなく理解しているけど、うまく説明できない」
「IoTってどのようなところで活用されているの?」
「IoTデバイスの将来性をさらに知りたい」

本記事では、IoTデバイスの特徴や機能、種類や課題点などについて具体的な事例を紹介しながら詳しく解説します。疑問を抱いたときが知識を得るよいきっかけです。

記事を読むことで、疑問を解決しIoTデバイスに関する知識が深まります。ぜひ最後までご覧ください。

IoTデバイスとは?インターネットにつながる機器のこと

IoTとはInternet of Thingsの略語で、日本語に訳すとモノのインターネットです。あらゆるモノをインターネットに接続し、単独では実現できなかった技術を可能にします。

モノをインターネットに接続することで、新たな価値やサービスを生み出せるようになりました。

また、IoTで使用する機器のことをIoTデバイスといいます。IoTデバイスを活用すれば、インターネットを通じてさまざまな情報の取得や遠隔操作などが可能です。

たとえば、下記のような商品が考えられます。

  • 生活に身近な製品:スマートスピーカー・エアコン・ウェアラブル機器など
  • 生産設備:センサー・カメラ・制御機器など

自宅の家電がIoTデバイスであれば、職場や帰宅途中での遠隔操作も可能です。帰宅直前にエアコンの操作したり、職場から自宅のペットの様子を見たりするなど、さまざまな使用方法が考えられるでしょう。

上記のように、IoTデバイスは急速に生活の中に入ってきています。では、なぜIoTデバイスが急速に普及しているのでしょうか。

IoTデバイスが急速に普及している理由

IoTデバイスが急速に普及している理由として、主に以下の2点が考えられます。

  • 政府主導でDX化を推進
  • 5G((第5世代移動通信システム))の登場

近年、企業ではDX化が推進されています。DX化とはデータとデジタル技術を活用したビジネスモデルです。とくに産業分野では、IoTデバイスの活用により省人化・省力化が急速に進められています。

また、通信規格の5Gが登場したことによって、インターネットでの通信がより身近になりました。

通信速度が速くなり、家電やウェアラブル機器、自動車などでも実用レベルのIoTデバイスが増えています。とくにスマートウォッチなどのウェアラブル機器は、健康に気をつかう多くの世代に人気です。

実は、急速に普及しているIoTデバイスは、いくつかの種類に分類できます。IoTデバイスの種類については次章で詳しく解説しましょう。

IoTデバイス3つの種類と役割

IoTデバイスには下記3つの種類があり、それぞれ役割が異なります。

  • モノの状態を把握する
  • モノの変化を検知する
  • モノを操作する

代表的な家電などのIoTデバイスの役割は、センサーによって得られた情報を分析し、状態を把握することです。把握したデータは病気の早期発見や商品の故障診断などに活用できます。

また、IoTデバイスのセンサーやカメラなどを利用することでモノの変化を検知可能です。変化を検知できれば、工場設備の故障予防にも役立ちます。

IoTデバイスはインターネットを通じて遠隔操作も可能です。単独で使用する場合もありますが、多くはデータ収集・分析・操作を複合的に利用します。

それでは、IoTデバイスがどのように活用されているのか具体的な事例を見ていきましょう。

IoTデバイスの具体的な活用事例

近年、IoTデバイスはさまざまな分野で利用されるようになりました。そこで、下記3つの分野でのIoTデバイスの具体的な活用事例を紹介しましょう。

  • 民生品:家電製品・ウェアラブル機器など
  • 医療分野:遠隔治療・遠隔診察など
  • 産業分野:工業・農業・物流・サービス業など

とくに、医療分野や産業分野におけるIoTデバイスの活用方法は、一般的には知られていません。身近な商品だけでなく、日頃は目にしないIoTデバイスについても知識を深めてください。

身近な商品:家電製品やウェアラブル機器

もっとも身近なIoTデバイスとして、家電製品やウェアラブル機器などの商品への活用があります。具体的な事例は下記のような商品です。

  • スマートスイッチロボット((スマートプラグ))
  • ペット自動給餌機((見守りカメラ付き))
  • スマートウォッチ
  • 各種家電((掃除機・エアコン・冷蔵庫・カーテン・照明・空気清浄機など))

上記の商品は、生活を便利にするIoTデバイスです。とくにおすすめは手軽に利用できるスマートスイッチロボットです。スマートスイッチロボットを活用すれば、スマートフォンなどのアプリを使ってWi-Fi経由で家電製品の電源をON/OFFができます。

また、スマートウォッチはスマートフォンとの連携が可能なだけではありません。心拍数や心電図などの検出機能も搭載することで、身の危険を検知した際の緊急通報も可能です。

医療分野:遠隔手術用のカメラやロボット

医療分野におけるIoTは医療IoT((IoMT))とも呼ばれ、医療費増大や医師不足などの問題解決の方法として注目されています。

中でももっとも注目されているIoT活用事例は遠隔治療です。

現場ではカメラやロボットなどのIoTデバイスを活用した内視鏡での遠隔治療が推進されています。

遠隔治療により、遠くの患者を診察したり手術したりすることが可能です。

ただし、遠隔手術を行なう際には医師のトレーニングが必要であり、現在はトレーニング施設や指導者不足が課題となっています。

また、ウェアラブルデバイスも広義では医療分野に含まれます。

健康に関するデータを収集し、診察や治療への活用も可能です。

産業分野:製造ラインや製品のアフターサービス

産業分野でもIoTが多く活用されています。産業分野といっても、細かく分類すると多くの分野があります。ここでは、産業分野の中から下記4つの現場について考えてみましょう。

  • 製造工場((製造工程・アフターサービスなど))
  • 農業分野((栽培データの管理など))
  • 物流分野((自動倉庫・ドライバーの管理など))
  • サービス業((在庫確認など))

それぞれについて具体的に解説していきます。

【事例1】製造ラインのセンサーやカメラ

工場などの製造ラインでは多くのIoTデバイスを活用し、自動化が進められています。

具体的に使用しているIoTデバイスは、製造ラインの各工程に設置されているセンサーや検査用のカメラ、組付けや搬送などに利用されるロボットです。

IoTデバイスの活用によりワークや生産設備の状態を把握し、異常や故障の予知・検知ができます。生産設備が故障する前に対策を打つことも可能です。歩留まりを上げることで生産性向上も期待できるでしょう。

【事例2】農業分野の温度センサーや収穫ロボット

農業分野で主に活用されているのは、下記のようなIoTデバイスです。

  • 温度・湿度検出センサー
  • 濃度・ph値・水分量検出センサー
  • 液面検出サンサー
  • 照度検出((日照))センサー

上記のIoTセンサーから作物や土壌、肥料などのデータを収集し、収集したデータをAIなどを活用して分析します。分析データが使用されるのは、収穫ロボットや水や肥料を散布する設備です。

農業のIoT化はスマート農業と呼ばれ、農業の担い手問題の解決策となります。

【事例3】物流分野の自動倉庫や業務効率化

製造工場や農業と切り離せないのが物流です。物流分野では、自動倉庫やピッキング業務の自動化などにIoTデバイスが活用されています。

自動倉庫で利用されているIoTデバイスはRFIDや二次元コード、カメラなどです。今では完全無人化の物流倉庫も建設されています。

また、物流での課題となるのが、人手不足とドライバーの健康管理などです。最近では、ドライバーと車両の健康状態を自動計測するIoTデバイスも普及してきました。

【事例4】サービス業の無人化や商品管理

小売業などのサービス業においても、すでに多くのIoTデバイスが活用されています。主な活用事例としては、下記のような無人化や自動化です。

  • 値札や広告の自動・遠隔管理
  • 商品や機器の自動管理
  • レジの無人化
  • 顧客ごとの購買データを取得

小売業ではIoTデバイスを活用することで、在庫管理や販売予測も容易になりました。また、家電などは販売後の製品データを収集することで、アフターサービスにも活用しています。

しかし、IoTデバイスはメリットばかりではありません。次の章ではIoTデバイスが抱える課題について考えてみましょう。

IoTデバイスが抱える2つの課題

IoTデバイスが抱えている課題としては、主に下記の2点が考えられます。

  • セキュリティの問題
  • 電力供給やネットワーク

それぞれについて詳しく解説します。

不正アクセスやサイバー攻撃へのセキュリティ対策

IoTデバイスが抱える、もっとも大きな課題はセキュリティ対策です。IoTデバイスはネットワークに接続することで機能を果たします。主に考えられる問題は下記の3点です。

  • ハッキング
  • 不正アクセス
  • サイバー攻撃など

インターネットにおけるセキュリティ対策はイタチごっこのようなもので、終わりがありません。また、IoTデバイスは各デバイスに適した対策が必要な点も大きな課題です。

遠隔地や屋外での電力供給やネットワーク回線の設置

IoTデバイスの中には、遠隔地や屋外での使用が可能な商品もあります。ただし、電力供給やネットワーク回線の設置が大きな課題です。IoTデバイスを使用するためには、インターネット回線と電源を確保しなければなりません。

しかし、遠隔地や屋外では、インターネットやWi-Fiへの接続が困難な場所や電源のない場所もあります。したがって、充電設備やネットワーク回線の設置を優先して検討しなければなりません。

身近な家電製品から生産設備までを担うIoTデバイス

本記事では、IoTデバイスの具体的な活用事例や問題点について解説しました。IoTデバイスはInternet of Thingsの略で、日本語ではモノのインターネットと訳されます。

IoTデバイスではセンサーやカメラなどのデータ収集、制御機器の遠隔操作が可能です。近年、IoTデバイスは身近なスマートウォッチなどの家電製品や工場の生産設備、小売業などさまざまな分野で活用されるようになりました。

今後、ますますIoTデバイスは身近なものになるでしょう。

最近ではAI技術の発展により、IoTデバイスはビッグデータの活用にも利用されるようになりました。したがって、近い将来にはAIやIoTを使ったサービスの開発に携わるエンジニアが求められます。

時代の波に取り残されないためにも、さらに専門的な知識を身につけましょう。

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